日本の伝統文化(Cutural Treasures of Japan)

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◎歌舞伎
 歌舞伎という名称の由来は、「傾く」(かたむく)の古語にあたる「傾く」(かぶく)の連用形を名詞化した「かぶき」だといわれている。戦国時代の終わり頃から江戸時代の初頭にかけて京や江戸で流行した、派手な衣装や一風変った異形を好んだり、常軌を逸脱した行動に走ることを指した語で、特にそうした者たちのことを「かぶき者」とも言った。
 そうした「かぶき者」の斬新な動きや派手な装いを取り入れた独特な「かぶき踊り」で、慶長年間(1596年 - 1615年)に京・江戸で一世を風靡したのが出雲阿国である。慶長8年(1603年)京都で始めたと言われる。その後阿国を模倣したさまざまな踊りが世に出たが、その多くが「かぶき踊り」の範疇で受け取られた。内容としては、時代物と世話物に大別される。時代物とは、江戸時代より前の時代に起きた史実を下敷きとした実録風の作品や、江戸時代に公家・武家・僧侶階級に起きた事件を中世以前に仮託した作品をいう。一方、世話物とは、江戸時代の市井の世相を描写した作品をいう。
◎能・狂言
 一般に言われる「能」や「狂言」とは、「能楽」に含まれる演目のことです。能楽は奈良時代に発祥した、日本の伝統文化で現代に至るまで広く愛されてきました。
 能楽の始まりは奈良時代に起こった「猿楽」に起源があります。猿楽は演劇というよりもものまねや軽業などを中心とした大道芸で、娯楽の少ない当時の日本で爆発的な人気を得ていました。猿楽が現在の能楽に変化したのは、南北朝時代から室町時代にかけて活躍した観阿弥・世阿弥親子による功績が大きいといえます。観阿弥と世阿弥は、歌曲と結びついた猿楽を「能」として大成させました。その後、能楽は有力者の庇護を受けて日本の伝統芸能として現代にまで根強く残っていくことになります。
 能楽の特徴は、「能」「式三番」「狂言」という三つの演目によって構成されていることです。それぞれが別々の内容を持ち、一度の舞台で芝居と音楽と舞踊を楽しめるというお得な構成になっています。
◎日本舞踊
 日本舞踊の「舞踊」とは、明治時代に文学者の坪内逍遥らによって「ダンス」の和訳として作られた言葉です。つまり、日本舞踊とは「日本のダンス」という意味を持つ日本の伝統芸能なのです。
 日本舞踊は、日本各地に伝わっている踊りや舞いの全てを包括する概念といえますが、現代では歌舞伎や上方舞など舞踊の一部を指して使われることが多いようです。元々の日本舞踊は、田楽・盆踊りなどの民間芸能から歌舞伎・能楽や雅楽などの格式のある芸能までを一括するものなのです。

◎三味線
 三味線は三本の弦を用いて演奏する弦楽器で、日本を代表する楽器の一つとなっています。現代では津軽三味線などが、他の音楽ジャンルとの融和を積極的に行なうなど音楽シーンに欠かせない楽器として認知されつつあります。
 三味線をはじめとする弦楽器のルーツは中東発祥の「リュート」という弦楽器で、多くの弦楽器のルーツとなったといわれています。ヨーロッパではギターの原型となり、アジアでは胡弓や琵琶などの原型となったのです。三味線の直接のルーツは、中国の「三弦」という楽器で、沖縄を経て日本全土に伝わったのが16世紀ごろといわれています。

◎俳句・短歌
 俳句と短歌は、決められた文字数の中で様々な表現を用いて感情や情緒を表現する文学です。文学的には、俳句や短歌は詩の一種に含まれると見做されています。
 俳句と短歌には、17文字または31文字というごく限られた文字数の中で感情や情緒を表現するというルールが定められています。俳句の場合、「季語」と呼ばれる四季を感じさせる言葉が使われていなければならないというルールがあります。また、文字数に従うだけでなく、俳句ならば「五・七・五」、短歌ならば「五・七・五・七・七」というリズムに則って詠まなければならないというルールがあります。

◎着物の着付け
 和服は日本独自の衣服文化であり、伝統文化でもあります。現代では結婚式や成人式などの限られた行事の際に着る人だけでなく、日常から和服を着ている人も増えているといわれています。
 日本独特の衣服である和服は、日本人の生活様式に大きな関わりを持っていたといえます。着物の影響としては、明治時代まで日本人に根付いていた「ナンバ歩き」が挙げられます。ナンバ歩きは「同じ手と脚を前に出しながら歩く」という、着物が着崩れない歩き方であるといわれています。また髷や日本髪などの髪型も、和服じゃないと様にならない髪型であるといえます。和服は日本の文化を語る上で外すことが出来ない文化なのです。
◎華道
 華道は俗に「生け花」とも呼ばれ、切花を自然に咲いていたように飾り付けるだけでなく、一枚の絵のように風景や情景を再現する芸術的な日本の伝統文化です。
 華道の特徴は、「主役である花をいかにして活き活きと見せるか」を考え抜いた生け方にあります。剣山や支柱、花器を巧みに使って花の最高の瞬間を切り取ったように見せるのが生け花であり、華道なのです。花を飾るという行為自体は、普遍的なものといえますが「自然に咲いている状態」を目指して飾ることは類を見ない発想であるといえます。


◎茶道
 茶道は、中国から伝わったお茶を日本独自の文化として研鑽し昇華した伝統文化です。イギリスのアフタヌーンティーが他愛のないおしゃべりを楽しむものであるなら、茶道は「もてなし」に全力を尽くすことを目的とするものとしています。
 茶道は、8世紀の遣唐使によって日本にお茶が伝わってきたことに起源があるといわれています。この時日本に伝わったお茶は、中国で主流だった半発酵茶であったため茶道との直接の関係は薄いと考えられています。現在のような抹茶は10世紀に日本に伝来したもので、高価な中国製陶器でお茶を飲むことが大名などの上流階級層で流行したことが茶道の興りであったようです。
◎書道
 日本の伝統文化の一つである書道は、「カリグラフィー」という飾り文字文化の一つに挙げられる東洋独自の美術であるともいえます。
 書道の歴史は、紀元前にまで遡る中国の歴史に深い関わりがあるといわれています。群雄割拠の時代が長く続いた中国では、地方によって使用されている字体が異なっていたため中央では字体の違いから起こる混乱がしばしばあったといわれています。この字体の違いに収拾をつけたのが、紀元前221年に中国を統一した秦によって定められた「隷書」という字体であったといわれています。日本に書道が伝わったのは、漢字と同じ時期と考えられています。